バレンタイン!バレンタイン!?【その1】
- 麗ちゃん
- 2019年2月25日
- 読了時間: 3分
更新日:2019年2月25日
【意中のあの人に届くように、チョコへ想いを込めて!】
そんな謳い文句でシップ内は赤やピンクの彩りに溢れてる…甘い雰囲気なのはチョコレートの香りだけのせいじゃないみたいだ。
『あ、あの…これ、受け取って欲しいの』
『ねぇ、私のキモチ…受け取ってくれるわよね?』
『えへへ…手作りなんだ、これ。食べて…くれるよね?』
「……カジノいかがですかー、リー」
ショップエリアはチョコの受け渡し現場に様変りしていた…カジノのゲート脇に佇んで客引きするリリーパ、いつもより抑揚のない声だった。
「辛気臭い声でなにやってんです?…不気味なんですけど」
顔を引きつらせて歩み寄って来たのは…
「ん…あぁ、シスちゃんか。やぁやぁ……尻尾貸して?モフモフさせて?」
「蹴るぞ」
艶やかな銀髪をなびかせ、九つの尻尾を揺らめかせ佇む、九尾狐のシスフェリア…その人だった。
「…それは困るなぁ、痛いし」
「じゃ、諦めて」
「はぁい…そんで、シスちゃんは何してるの、誰かにチョコ渡しにかい?
もしかして…ボクに「ないです」…デスヨネー。知ってますよ~だ」
「別に…ただの気まぐれ。精々、バイト頑張んなよ…じゃな」
そう言うや否や、踵を返しカフェの方へ歩いていった。
「…なんだったんだろ、変なシスちゃん」
数歩、離れて背を向けたまま彼女はポケットから取り出したある物を放り投げた。
「…まぁ、なんだ…疲れた時は甘いものでも食うと良いよ。…ほれ」
「おっと………コレって、ねぇシスちゃん!…あらら、もういないし」
気が付くと彼女は消え、手には1個5メセタで売られているカジノコインの形をして金色の包装紙に包まれたチョコレートが1枚…裏には狐のシールが貼られていた。
「疲れた時には甘いもの…かぁ、違いない。」
着ぐるみを脱ぎ早速、チョコレートを口に放り込む…駄菓子特有のチープな甘さが口に拡がる。
「…ん、甘い♪」
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処変わって、とあるガレージの魔境では…
「…で、出来た!やっぱ私って天才だよねぇ!いやぁ、自分の才能が怖いわぁ…ニシシ♪」
我らがマッド…マキナちゃん女史である。
今回は何やら怪しげな薬を作ったようである。
「よしよし、何か空き瓶はっと…あったあった!
これならバレないね、どっからどう見ても
【バニラエッセンス】
だもんね!
ふぁ~、シャワー浴びて寝よー」
不用意にそれをテーブルに置いたまま彼女はガレージを後にした…暫くして別の人物が現れた。
「もしー、マキナはん居るかぁ?買い物頼んでたモン、シトラスはんがコッチにいっしょくたで置いたって言うから来たのやけど…って、居らんのかぁ」
前回、マキナちゃん印のお薬の被害者…アルストロメリア・ハイドランジアちゃん…今回は、どうでしょうね?
辺りをキョロキョロと見渡しながら溜め息を一つ。
「…しゃあないなぁ、どうしよか?…なんや、あるやないの♪ちゃんと分かるように出しといてくれたんやね、助かるわぁ。
…それにしてもシトラスはんのドジッ子スキルも中々やなぁ、バニラエッセンスだけ何でマキナはんの買い物の荷物に紛れ込ますんかねぇ。
まぁ、これでヴェルデはんにチョコレート作れるわ♪」
彼女はテーブルに置いてあったモノを大事そうに懐にしまい、ガレージを後にした。
本来、彼女が持ち帰る筈のモノはその隣の椅子の上に置かれた買い物袋の中に入ったままだとも知らずに…。
今回のバレンタイン…どうやらすんなりと終りそうもないようで?
続く
ちゃんと誤字直してるのえらいの
早く続き書いて