【鬱展開注意】壊れた玩具が見せるもの【バレンタイン!バレンタイン!?蛇足部分】
- 麗ちゃん
- 2019年3月30日
- 読了時間: 9分
バレンタイン小説ラストで【麗舞】が見た過去の記憶のお話。
まだ彼に沢山の【自分 ー キョウダイ ー】がいた頃の、彼ら彼女らが経験した記憶の一部。
【麗舞】は自分の身体が変わる度に全てを継承しながら生きていきます、彼の中には様々な【自分】がいます…故に感情の吐露が時折、狂ったように見えたり、一人称や口調、振舞いが常に安定しません。
彼が見たのは遠い日の、【自分】の姿……今の彼を形成する一端となった出来事の1つ。
自分を捨ててでも…誰かの為に身を切る、そうすることで自分に【価値】が産まれると刷り込んだ出来事。
所謂、【人格形成】回なのです。
※表現力無くて陳腐な言い回しだけど…胸くそ悪い話【逆レイ※等】なので。直接的な描写は極力カットカット!
でも無理な方はここでブラウザバック推奨でね?※
※フィクションであり、登場する【麗舞】は実在する【麗舞】とは…少し違います⬅
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ーーーー ぃぎぁあああああああああああ!……ぎゃあがぁいあああああああああ!!
ーーーー アハハハ!ふむふむ~このナノマシンはそういう効果なんだぁ…へぇ、面白いよ!
…じゃあじゃあ、そっちのナノマシンを注入すればっと…
ーーーー ……カハッ……ッ!?イダイ!いだい、いだいいだいいだい!!あぎぃいいいい!?
いだぃよおおおおぇぇッ!!あだまがいだいぃぃ、われるゥウギャァア!!
助け…おぶぇえぁっ!?
真っ白な部屋、首と手足を厳重に拘束され…もがき、泣き叫んだ…喉が潰れた、吐いた、吐き出すものが無くなっても吐いた…身体中を這い回るナニカを拒絶する様に。
天井が回る、頭が割れる、掻き回される、
身体のあちこちから見たこともない化け物の一部が蠢きながら生えている…右肩から生えてきたのは、ナニカノカオ…こっちを見て、嗤う。
ーーーー おほぉう♪良い反応するねぇ…もぉっと弄くりまわしてあげるからねぇ…ふふ、ふひひひ!
それじゃ、今日最後のナノマシンは…コレだね!
無邪気にはしゃぐ子供の様な、場にそぐわない声が耳障りな女…。
机に並べられた注射器の1本を手に取り…頬を染め恍惚な顔をしてる。
足下に散乱した使用済みの注射器……踏み砕く音が響く度に、心が、身体が…砕けていく気がしてた。
ーーーー …あ、いぁあ、ひゅるひへぇ…いたいのは、やらぁ…んぎぃああ!?…あ、あ………がぁああああああああああ!!!
身体が仰け反る、激しい痙攣と痛みに襲われて視界が霞む、拘束から…痛みから…恐怖から、逃れられない…目の前の女は嗤ってる。
女と目があった瞬間…意識が飛ぶ。
ーーーー …あれぇ、あれあれ?どうしたのぉモルモット君?…死んじゃった?おっほぉー、アタシの調整下手過ぎかなぁ、違うよね?
あぁあ、つまんな……コイツも出来損ないか、まぁたゴミが増えちゃった!再利用出来ないのが難点だよねぇ……そうだ!次はアレ連れてきて実験してみようか。モルモットの癖に、せせこましく【人間ごっこ】してるアレにしよう……『…ダ、メ』…あ?
違和感を感じて女はこっちをじっと見つめかえす。
しばらくして、この身体全体から生えていた、蠢くモノが消え始めた…吸い込まれるように、ゆっくりと…馴染んていく、気持ち悪い。
その光景を見て女が驚いてる…そんな顔も出来るんだなって、下らないことが頭を過る。
ーーーー …治ってる?さっき潰した腕も引き千切った耳も、あれもこれも全部!治ってるよ!?…あは、アハハハハ!凄いすごよ、モルモット君!
傷も大怪我もあっという間にだよ!このナノマシンの組合せと割合を調整すれば…くふふふ、素晴らしいデータが取れましたぁ♪
お前……今、最高にバケモノだよ。
見渡せば傷ひとつない、無垢なままの身体…声も出せる。
女は喜んでいた、自分は天才だと…無邪気な瞳で、笑って…
ーーーー あの子には手を出さない、でくださ!?…くふぁっ!
容赦なくメスを突き立た。
何度も、
何度も、
何度も。
ーーーー へぇ…この異常なまでの回復?いや、再生力は……アタシの暇潰しには最適だね!そうだ!この間作ったあの薬…試してみよっかな…あったあった♪
ーーーー さっきで…終わりだって、いったのに…。それにあの子には手を…
白衣のポケットを漁り、取り出したのは、またも注射器…それを首筋に突き刺した。
ーーーー 煩いんだよ…
ーーーー …うぅ!?
注入された液体が身体中を駆け巡る…瞬間、訪れる全身がバラバラに引きちぎられそうな痛み、鼓動が激しくなる…食いしばった奥歯が砕けて治る…広がった鉄の味はそのままに。
ーーーー …おっ、さっそく効果が出たねぇ!へぇ、なかなか可愛いねぇ…これなら満足でしょ、キミ達?
女に呼ばれ、ぞろぞろと現れる白衣の男達…誰もが皆、下卑た笑みを浮かべてた
アイツらの視線の先は…
拘束され隠すものが何もない
『私』だ。
ーーーー キミ達の冗談半分で言ってた薬…作ってみたけど…上手くいったみたいだね。性別変換薬、効き目は…試作品だから数時間ってトコだね…好きにしていいよ、結構手荒な事も大丈夫だから!
ーーーー マジっすかー!やべ…かなり可愛いじゃないですか
ーーーー こんな上玉…ホントに良いんですか!?
ーーーー うわぁ…たまんねぇ、肌スベスベじゃんよ…
ーーーー おい、時間勿体ねぇって!楽しもうぜ…
これから始まる事が【いつもの実験】じゃないことだけは理解できた、ただただ怖い…触れられる全てが、神経を逆撫でするような不快な感覚に蝕まれる。
また何れかの歯が砕けて…治る、その繰り返し。
ーーーー ソイツらの遊びに付き合ってあげたら…アイツには手を出さないよー♪
【何をやっても壊れないオモチャ】と【すぐ壊れちゃうオモチャ】…どっちが価値があると思う?
アハハハハ!
ーーーー ッ!!
ーーーー わぁお、怖いねぇ♪精々、お前も楽しみなよ……キモチイイかもよ?
ーーーー お前ぇえええ!!…もがぁ!?
ーーーー オラ、相手は俺達だろうが!……楽しませろよ?
涎を垂らして嗤う嗤う嗤う嗤う、影が4つ…覆い被さって視界が奪われていく。僅かに見えた女の口が動く。
【アイツは処分しなきゃ】
ーーーー apjd△○α!? Ψ×γΦヰ◯‡ッ!?
言葉にならない叫びと嗤い声だけが真っ白な部屋に木霊する。
どれくらいの時間が経ったのだろう、わからない。身体中がブチブチと裂けてしまう様な一瞬の激痛…僅かな間を置いてまた激痛、その繰返しの中で、食いしばる事も気をやる事も許されず、【私】はただ終わるのを待った。
大丈夫、終われば綺麗に元通り…あの子に笑って会える…あはは、あは♪
大丈夫…ちゃんと笑える、うん大丈夫だ。
ーーーー なぁコイツ、笑ってやがるぜ?
ーーーー なんか……段々、気味が悪くなってきたんだけどよぉ。どうするよ…まだ時間はあるけどさ。
ーーーー 虚ろな目して笑ってやがる!気持ち悪いヤツだな…オラ!ヘラヘラ笑いやがって、起きろ!
顔面に走る衝撃、衝撃、衝撃…あは…痛い、痛くない、痛い、痛くない、あはは……疲れちゃうよ?
ーーーー お、おい…あんま無茶すんなよ?いくら壊れねぇったって貴重なサンプルだろ?
ーーーー クソが…殴った側から再生しやがる、とんだバケモノだぜ。萎えちまった…街で女買った方がマシだ!
行こうぜ。
ーーーー あぁ、どうせほっといても問題無いだろう…
そう言って男達は私に唾を吐き捨て部屋を出ていった。
終わった…これで会える…とにかく、手足が繋がれたままじゃ、洗浄できない。力が出ない…動けない。
いきなり扉が開く音と、同時に耳障りな女の声が聞こえてきた。首を扉に向けると…あの女と、
ーーーー あっははー!先程はお楽しみでしたねって…うぇ、くっさ!!アイツら後始末してねぇのかよ、クソウジ虫共がよぉ……まぁ、いいや♪
【コイツのエサにしよっと】
ーーーー なに、それ……今度は、バケモノの相手?いいよ、さっさと済ませて…あの子に会わなきゃ。
【バケモノ】と言った時、ソレはビクッと震えた…言葉が解るのだろうか、しきりに首を横に振っている、どこをどう見たってバケモノには変わりない。
また震えた…。
ーーーー あーららぁ、お前ってば随分と嫌われたねぇ…折角、頑張って【お手伝い】したのにねぇ、私の♪
……何て言った?私のお手伝い、だって?
じゃあ、そこにいるのは…?
ー オ…オ、ニイ…チャ……オネ、エ…チャ、ン ー
ーーーー え…?
この身体なんて容易く切り裂けるであろう鋭利な爪と牙、ゴツゴツと隆起し全体が刺々しい灰色と赤色が入り雑じった体躯…白濁した瞳は…怯えているようにも見える、まるで……
ーーーー …レイ?
【私】の呼び声を聞いて身体を揺らす……違う、違わない…違う……あぁ、どう、して?どうして?
ーーーー あははー、ごめんねー♪いやさぁ、別の実験してるヤツが気に食わなかったからさぁ…ソイツの実験データをちょいっと拝借したんだよねぇ!
うむ、後悔も反省もしていない!余は満足じゃ!あははー!
…やっちゃったぜ♪
ーーーー うわぁああああ!?あぁあああああ!
レイ!レイィ!?あぁあああああああ!!
もがいた、一刻も早く、この拘束を引きちぎりたい……目の前の女の首を、ハネタイ。
ー ふひゃははは!無駄だよ、ナノマシンで力が抑えられたお前ちゃんではその拘束を解くなんて無理無り……あ? ー
ー コ…レ、デ…イイ? ー
女の首が跳んだ。身体を縛り付けていた拘束具も粉々になっている。
ーーーー レイ…どうして?
ー ガ、ン…バ、タ…ホメ…テホ、メ…テ? ー
この子は【私】の心を読んだ…助けてくれた。【私】が助けるはずのこの子に…こんな姿になってまで。
ーーーー ごめんね…ごめんね……ごめん、なさいぃぃ…う、うわぁああああ!
ー ナカ、ナイ…ノ……ワ、ラッ…テ、ワラッ…テ ー
笑えなかった、ただ泣き叫ぶ事しか出来なかった。
ー オナ、カ…スイタ……サッキノ、ゴハン…タベ、タイ…タリ、ナイ ー
ーーーー さっきの?お腹、空いてるの…でも、食べるモノなんて……ねぇ、 何を食べたの?教えて……あなたナニを食べたの!!
ー ミンナ、イッショ…ズット、イッショ、ダヨ……デモ、ミンナ、イナイ…ドコ? ー
その言葉で全て理解出来た、あの女はレイをこんな姿にするだけでは飽き足らず……【私達】を【ゴハン】と称して……この子に【処分】させた。自分で手を汚す事もなく…あの女は。
ー ネ、エ…コレ、タベテモ……クサイ ー
女の身体に鼻を近づけて、蹴り跳ばした…良い気味だ。
みんな…あの子と一緒にいるのね、だったら……やることは1つ。
ーーーー レイ…みんなは、ちゃんといるよ?あなたのココに…聞こえるでしょ?
そっとあの子の紅く鼓動する所に触れる……良かった、みんな…ちゃんといるのね?
そう、この子の為に……ありがとう。
だったら私も、そっちに行かなきゃね。
ー ウン…ウン、きこ…エル、ミンナ…イッショ……みんな、いっショ… ー
途端にレイは張り裂けんばかりの雄叫びを上げた…きっと嬉しいのだろう。後は私が一緒になれば…
ーーーー さぁ、レイ…私も、みんなと一緒がいいな♪皆が待ってるもの、私だけ【仲間外れ】は嫌だな…ね?
ちゃんと……出来るよね?
ー …ホメテ、くれ、る? ー
ーーーー うん!後でいっぱい、いっぱい…誉めて、あげる、から…みんなで…ね!
ー わかっタ…… ー
そう言うと私を優しく抱き寄せて……
ー オカエリナサイ ー
ーーーー ただいま。
【私】の意識はそこで途切れた。
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しばらく間、白く赤く染まった部屋に静寂が訪れた。部屋の片隅で蠢く人の様な【ナニカ】は微かに今、産声を上げた。叫ぶ事も暴れる事もせず、徐々に醜さが消え…それは【人】の形を成していきながら。
ただひたすらに声を噛み殺し、膝を丸めて大事なナニかを守る様に自分の身体を抱いて……静かに静かに、少年は産声を響かせた。
「ずっと……一緒、ずっと、ずっと…一緒。わかってる、笑わないと…ね?あは、あはは…はは」
ー モウ…サミシクナイヨ ー
視界の隅から徐々に黒ずんでいく。
……記憶の終わり、暗転する視界、浮き上がる感覚……そろそろ、起きないと。
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「…知ってる天井だ」
【了】
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