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  • 執筆者の写真麗ちゃん

【加筆修正版】(読み切り)ー 普段は真面目じゃない奴が真面目にやろうとすると大概、なんかに巻き込まれるから ー


惑星ナベリウス凍土区…永久凍土に覆われた氷の大地。そこに立ち入るものは少ない、いるとすれば調査に訪れるアークスもしくは…


「まぁてぇえええ!!大人しく食材になりやがれええええええ!!」


「パォオオン!?」


「…へへ、逃げんなよ…暴れんなよ、暴れんなよ…すぐ塊肉にしてやるから、な!」


「ギャ!?」


白い大地を染め、己れ自身もその血液で染め上げる、それでも気にした風もなく叫びを上げる…


「っしゃああ!…デマルモスの老成した肉、ゲットだぜ!」


お使いにきたアークスくらいだろう、少し血生臭いが。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



時は前日の昼下がりまで遡り、彼がたまに立ち寄る場所…昼間はカフェ、夜は酒も提供するバー兼レストラン、『フランカ’sカフェ』で彼は食事を摂っていた。


久々にマトモな給料を頂けたのだろう、幸せそうに1ポンドステーキ…その上位メニュー、1ポンドステーキを食べ切る毎に次の1ポンドステーキが順に12枚、追加される大食いメニュー『ワンポイント・ステーキ』を一心不乱にかぶりつく表情から今月の財布はしばらくホクホクしているようだ。


フランカ’sカフェ……オーナー『フランカ』のかねてからの夢を実現させた、アークス達の憩いの場所。季節によって店内の装いを変え、彼女自身も厨房に立つ。提供する料理には様々な惑星から集めた食材を惜しげもなく使い、また新たなメニュー開発にも余念がなく、訪れる者達の舌を唸らせ飽きさせない。


ここは彼女の『夢の舞台』でもあり『戦場』だった、純白のシェフスーツを身に纏い、鍋や包丁等の調理器具を巧みに持ち変えては振い、厨房で無駄なく舞い踊る姿は…最近ようやく定着し始めたクラス゛ヒーロー゛のような立ち振舞いだ。


『はぁい、3番にステーキセットあがり!次6番にオムライスセットね!17番の食後のパフェ、出す前にテーブルの食器さげてね!

ほら、定食のフライ…あと12秒で揚がるよ!準備してよぉ?

あ、いらっしゃーい!すぐ案内するからちょっと待ってねぇ、3名様ご来店だよ!』


テキパキと周りに指示を飛ばし、料理を提供していく傍ら、新たに訪れた客を温かく向かえる…笑顔も忘れずに。


そんな姿を離れたテーブルから彼は、横目で眺めながら食後のコーヒーを楽しんでいた。


「…銃と剣を鍋や包丁に変えて、華麗に動く姿もまた…紛うことなき゛英雄゛ってね……ん、今日も美味しいねぇ、ここの料理もコーヒーは」


「あら、嬉しいわね。そう言ってもらえると料理人冥利に尽きるわ、麗舞くん」


コーヒーの香りに意識を傾ける彼の横には、シェフでありオーナーのフランカが傍らに立っていた。片手にはジュースが入ったグラスが握られている。


「ん、フランカ…どうしたんだい、厨房はいいのかい?」


「えぇ。ピークは過ぎたし…お客さんも空いたからね、休憩だよ。それとぉ…」


「ん?」


さっきまでの凛々しかった彼女とは違い、年相応な女性の振る舞いを見せるフランカ。いや、若干甘えを含んだ…そう、言うなれば女性が彼に頼み事をする仕草によく似ている…という方が正確だろう。


どうやら彼も声色で理解したのだろう、コーヒーカップをソーサーに静かに置き、彼女を見据える。


「まぁ、休憩中なんだし座んなよ…立ちっぱなしで疲れるでしょ?」


「ありがとう、それじゃ失礼して」


向かい側の空いた席に座りジュースに少し口をつけて一息ついてから彼女は話し出した。

それを時折、コーヒーを傾けながら話を聞く麗舞…。


「頼んだ食材がまだ届かない…しかも依頼を受けた奴はまだ帰ってきてない、か…それでボクに?」


「暇でしょ♪」


「暇でしょって、貴女ね…ボクだって予定がーー」


「無いよね、今日の午後から明日1日いっぱい!ディールから聞いてるもんね!

…だからお願い!頼んだ食材、明後日の夜に入ってる予約のお客さん達に出すコース料理のメインなの、どうしても必要なのよ…この通り!報酬は弾むから、ね!…貴方しか居ないの、うぅ…」


テーブルに頭突きを繰り出さんばかりの勢いで頭を下げ、突っ伏し涙声を上げる彼女…所謂、泣き落としである。

そして、そんな彼女を何事かと見つめる多数の視線…まるで別れ話を切り出されて軽い修羅場のようになっている。


「ちょ、ちょっと!そんな事で何も泣くことないだろうに!?」


「そんな事!?私のお願いが『そんな事』ですって!ひ、酷いわ…どれだけ私が(お客さんに)尽くしてきたかぁ、うわぁぁん!」


肝心な所は言わない…鉄則である

周りの目線も一層、彼女の味方をする…もう諦めろ、男じゃ分が悪い。


「いや、誤解を生むような「誤解ですって!?」…えぇ」


「私はずっとずっと…この(お客さんに対する)想いは本気よ!なんなら今ここで…貴方の前でこの服を脱いで(料理人を辞めて)も良いんだからぁ!!!」


時が止まった。


その場に居合わせた誰もが動きを止めてしまった。

アークス達の間ではカジノのアイドルと双璧を成す、カフェのヒーロー…その人の純粋なまでに健気で、直向きな想いが響き渡った。

ヒーロー故に周りに与える影響は大きいのだ、ただし本人に自覚は無いようだ。


「…はぁ、わかったよ。わかりました……ウィ、マドモワゼル。これでいいかい?

ちょうど、知り合いからも『クエストに行ったっきり帰ってこない居候を探して』ってお願いされたばかりだからね…ついでにやるよ」


クルクルとカード状の通信端末を手で回しながら応える。

がっくりと肩を落として依頼を受けざるを得ない彼…はい、日常です。


「本当!?アハッ、ありがとう麗舞くん!それじゃお願いね!やった~♪これでコース料理は完璧だわ!」


足取り軽く去っていく背中を恨めしげに見つめ、残ったコーヒーを一気に煽る。

所々で彼女に『おめでとう』と掛ける声に、また面倒事にならなければ良いがとため息を一つ。


カフェに併設された簡易クエストカウンターで手早く受付を済ませ、彼はゲートを通っていった。

受付嬢の


『…浮気はダメですよ?』


その一言が足取りをさらに重くさせるのだった。


「ボクは無実だよ…」


それはない…たぶん。

彼の頭上には【苦労人】もしくは【振り回される人】の称号が浮かんでも良いかもしれない。


「さって…彼に任せれば後は待つだけね。さぁ、この後も張り切っていきますか!」


どこか煤けたような背中を見送ったあと、厨房に振り返り…気合いを入れ直す。

そこに…


「「そうね…」」


急に店内の温度が下がったような気がした…おかしい、確かに今は冬期使用の内装で時折、雪がちらつく演出もしているけれど、ただのホログラムのはずだ。


なぜこんなにも骨の髄まで凍りつくような感覚になるのか?

そういえば、背後から声がしたような。

後ろの気配に振り返ろうとしたとき、彼女は両脇をガシッと抱えられてしまった。


「はぇ!?な、なになに!…あ、ディールじゃない、それにティアちゃんまで、あは、あははー…いらっしゃ~い、なんか怒ってるのかなぁ………離してぇ。パティちゃんヘルプ~」


彼女等は笑っていた…そう、ニコニコと。フランカは本能で感じ取った、冷気の発生源はこの2人だと。

そして、たぶん自分は逃げれないのだと。


「あらぁ、よぉっく…わかってるじゃない。ねぇ、フランカぁ…私ねぇ、さっきソコの入口の前で聞いちゃったんだぁ…随分とオアツイのねぇ…私さぁ」


左にカジノのアイドルでありフランカの親友である…ディールと


「えぇ…奇遇ですけど私も聞いてしまいました。女は度胸と言いますよね…女の私でもあんな風に熱く、一途に想いをぶつけられたらなぁって…私、羨ましくって羨ましくって…」


右には、情報屋…゛パティエンティア゛の名で活躍する、アークス達の人気者で当カフェの常連客、ティアが…それはそれは、両脇をしっかりと固めていた。

パティだけは、3人の後ろで苦笑いを浮かべていた。


「「嫉妬で頭がどうにかなりそう…」」


「はいぃ!?てか、嫉妬って言っちゃってるよ!」


「「お黙り!!」」


「ヒェッ!?ご、誤解だってば!何かの間違いだよ、あんな顔だけのチャランポランでサボり魔な人に、私がなびくワケないじゃない!

ね、ね!?そうよね、ディール!そうでしょ、ティアちゃん!……あ、あららぁ?」


誰しも命は惜しい…それは生きとし生ける者すべての共通認識といって間違いないだろう、だが相手が悪かった。

今回ばかりは…その手の話は悪手だろう、地雷原をタップダンスて踏み抜きながら突っ切るようなものだろう。


「あは、は…゛無茶しやがって゛…というヤツだよねぇ、うわぁ」


引きつった笑みのままパティは数歩、後ずさる…そう、誰しも命は惜しいのだ。

勇気ある者を人は゛英雄゛と呼ぶかもしれないが、蛮勇を犯す者を゛英雄゛とは呼ばない。


人…それを゛愚者゛と呼ぶ。


まぁ、皮肉を込めて英雄と呼んだりするかもしれないが…彼女の場合゛カフェのヒーロー゛だし、それも良いかもしれない、とにかくアレだ……南無三!


「さぁ…この後も張り切って」


「オ ハ ナ シ…しましょうか」


「イヤァアアアアアア!?誤解よおおおお!」


「「はぁい……逝きましょうねぇ?」」


「は~な~し~て~~」


「…気をしっかり持ってねフランカさーん」


どこから取り出したのか、ハンカチを掲げた手を振り見送るパティ。

ズルズルと引きずられて、フロアの隅の個室に連行されるオーナーシェフ。

薄暗くされた扉の奥からチラリと見えた荒縄やムチに、恐怖心が余計に煽られる、どんな状況でも客を満足させるための妥協は許さない…スタッフの教育は行き届いているようだ。


「さっすがフランカが鍛えただけあって良い仕事するわねぇ、ここのスタッフ♪ウチも負けてられないわ!」


「ふふ……パーフェクト、ですね」


「感謝の極み…」


「やってる場合じゃないから!て言うか、いつの間にこんな部屋作ったの!?」


「いえ、必要になるかと思いまして…」


「あって堪るかだよ!っていうかコレ、彼のポジションだよね!?」


ジタバタと暴れるが拘束は解かれる事なく室内へゆっくりと運ばれていく。


「では、教育してあげるよ…」


「豚のような悲鳴を上げましょうねぇ…」


重い防音性の高いドアはゆっくりと閉じられた、ただ一人残されたスタッフは恭しく一礼して立ち去って行った。


「ごゆっくり御過ごしくださいませ…お客様」


いつの間にか、店内は穏やかな午後の空気が戻っていた。ただ、違うのは…いつも厨房で明るく来店客を迎える彼女が居ないことだろう。

厨房のカウンターの隅にコトリと置かれたプレートには短く、こう書かれていた。


ー ただ今、オーナーシェフ教育中につき不在中 ー


うっすらと消し残された【洗脳】の文字には触れてはいけない……触れてはいけないのだ。


「あーらら、ティアも行っちゃったし。この後どうしようかなぁ。終わるまでカフェでゆくっくりしてよっか♪」


「お客さま、こちら最近、入荷しました茶葉…【ミサト・ブレンド 】がございますが…いかがでしょう?」


「え!?飲みます飲みます!後、一緒にミルクレープもお願いしまっす♪」


「畏まりました」


カフェは平和な憩いの場に戻っていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



時は戻り、惑星ナベリウス凍土区…目的の食材を必要数、手にいれた彼は冷たい地面に防寒シートを敷き休憩をしていた、簡易式で食材を回転させながら焼くコンロで暖を摂りながら。


「じょーずに焼けましたー♪っと……なんで『肉焼き器』使うと言ってしまうんだろうね」


様式美です。


「ま、いいや……せっかく大漁に獲れたし、味見くらいは…良いよな♪

うはぁ…良い感じで脂のサシが入って柔らかそうだ!いっただきまぁっ『ゴソッ』…あ?」


焼き上がって芳ばしい匂いに堪らず口を大きく開けて食らいつく瞬間、目の前の雪が爆ぜた。


「焼いた肉だあああああああああ!!!!」


「ぐふぅッ!?」


突如、雪の塊が爆発したと思ったら中から黒いナニかが飛び出してきた。

それは完全に油断していた彼の鳩尾に重い一撃を食らわした…彼はやはりツイてないようだ。


「ゴホッゴホッ!…ったく、なんなんだよ」


まだ揺れる意識に頭を押さえ、ズキズキと痛む胸を撫でながら目を細め、睨み付ける…そこには。


「……おかわり」


艶やかな銀髪を短く纏め、褐色で紅い瞳の……女性?

それにしては慎ましい…ぁ、いや、強く生きてくださいね。


「失礼だね…私は女だよ」


確かに、よく見ると男性が着るには少し…いや、かなり無理がある。肌の露出が多い服装だ、まるで紐…寒くないのだろうか?


「…知り合いがくれた特注品、冷暖房完備」


あまり地の文と会話しないで欲しいのだが…。


「残念…表現力が足りない」 


おだまりなさい。


「おかわりくれたら、黙る」


はい、さっさと次の肉焼いて話を進めて!終わらないから!


「えぇ…面倒くさいなぁ、って!?なに生で食べてんの!お腹壊すでしょお!?」


「え?壊さないよ、なに言ってんの?…おバカさんなの?」


モッキュモッキュと咀嚼音を響かせながら笑顔で血塗れの肉を食べる少女。


「いや、ホラーじゃないか」


本当はグチャッ!とかブチィ!とか割りとリアルで野性味溢れた音が響いていますが『モキュ音』でフィルターを掛けます、想像しながら書いてる人も若干引いていますので。


「エヘヘ。ねぇ、モット…タベタイナァ、アハハ!」


「おぅ、口の周りの真っ赤なヤツ拭いてから笑えや…いや、嗤うなっての!…恐いでしょうが!?」


「ん…ふふ、野性的な味♪これでいい?」


「っ!?」


「…どうしたの?」


口の周りに着いたアレを舌でチロリと舐めとる姿が、彼には妙に艶かしく写り……直撃したのだ。

どこに?……疑問に思ってはいけない、彼は…どうしても男なのだから。


「まぁいいや、焼きながら話聞くよ。なんでまた、こんなとこで倒れてたのよ?」


「それはね…」


彼女はアルトと名乗り、フランカが依頼したアークスも彼女で間違いない様だ。

どうやら、依頼した食材は直ぐに集めたけども、どうせなら自分が食べる分までと、あれこれと集めている内に腹が減り過ぎて何もかも面倒臭くなり…知り合いが迎えに来るまで寝てよう!

こういう事らしい……え、お馬鹿さんかな、死ぬの?


「お腹が空いて力がでないよぉ、マーマレードおじさぁん」


「おぅ、そのパチもん臭い呼び方やめろ、あとオジサンじゃないから…まだボクは23だよ」


「ママレード…ボ「…ストップだ、消されるぞ」…のじゃ」


「ボクは同居してるイトコなんていないし、ましてや日曜の朝から橋が見える夜景をバックにベンチでチューなんかしないから」


「バカなの?…消されるの?」


「おだまり。…ほら、焼けたよ?熱いから気を「…おかわり」…嘘なの、消えるの?」


次を焼く前に言っておく!彼は今、彼女の片鱗をほんのちょっぴりだが…体験した。い…いや…体験したと言うよりは、まったく理解を超えていたのだが……。


あ、ありのまま…今起こった事を話そう、彼は彼女の前で肉を渡したと思ったら…いつの間にか【おかわり】を要求されていた。


何を言っているのか…わからないと思うが、彼にも何をされたのか…わからなかった。

頭がどうにかなりそうだった…早食いだとかダイソンだとか、吸引力が変わらないとか…そんなチャチなもんじゃあ、断じてない。


もっと恐ろしいモノの片鱗を味わった気分なのだ…今の彼は。


「…おかわり、まだ?」


彼の手持ちの食材は焼く度に消失した。


ー 焼いたニクの消失 ー


最高速の消費の歌。


「…うん、流行らないね。はい、これで最後だからね…ちゃんと、ゆっくり味わって食べるんだよ!結局、依頼品まで食い尽くすわ…ボクも食べれずだし。

それ食べたら、依頼品集め手伝ってくれな。もうあんまり時間無いんだからさ」


「のじゃ…1食にもならないけど、食べさせてくれた恩は返すよ。これでもソコソコ出来る人」


最後の肉を口いっぱいに入れながら屈託なく笑う…そんな表情にどこぞの銀髪で物臭なメガネっ娘が重なって、どこか憎めない彼なのだった。


「はいはい、また口の周りに着いてるから…ったく」


「…んっ「…舐めるな、行儀悪い」…むぐぐ…ありがと♪」


なまじ顔が良いだけに目に毒だ…彼は胸元のポケットから折り畳んだハンカチを取りだし、彼女の口元を拭う。

少し乱暴なのは、せめてもの意趣返しだろう…本人は理解してないようだけど。


「それ、人前でしないようにね…行儀悪いよ?女の子なんだし、口はちゃんと拭きなよ」


「……ヴェルデと同じこと言うんだ、教育ママ?」


「誰がママだ、誰が……ん、ヴェルデ?もしかして『ヴェルデ・ディ・プリマヴェーラ』のことかい?」


「あれ、ヴェルデの知り合い?」


世間は狭い…どうも彼は妙な縁があるようだ。


「マジかぁ…こんな事なら早く呼ぶんだったよ」


「む~、ヴェルデの知り合いで執事服、カジュアルポニー……あ、もしかして」


じぃっと見つめながら思い出したのか、眉間によったシワが消えてパッと表情が明るくなる。


「ん…知ってるのかい、ボクの事」


「ヘタ麗ちゃん!」


「…ヴェルめ」


あんまりな思い出し方になにも言えなくなるが、否定をしない辺り本人に自覚はあるようだ。

これも普段の行いだ、甘んじて受け入れたまえ。


「【ヘタ麗】はやめてね、ボクの心が抉れるから…『麗舞』か『麗』って呼んでね、アルトちゃん」


「ん、わかった…麗ちゃん。さ、早いとこ集めて帰ろう…眠たい」


「…誰のせいかなぁ。ほら、行くよ!」


「んー…眠い、無理ぃ……おんぶ」


目を擦りながら、両手を彼に向ける…すでにおねむである。


「はぁ!?ちょ、ちょっと待って!おんぶ!?…いや、君をおぶさりながら戦って食材集めろってのかい!」


「…麗ちゃんなら、だいじょう…ぐー」


「いや、言い切ろうよ!あぁ、もう寝てるよ爆睡だよもぉおおお!」


知り合いの探し人を見捨てる訳にもいかず…結局、言う通りにするしかないのだとため息をつきながら、彼女を優しくおぶさり、目的の食材集めに戻ったのだった。


「ったく、変なとこ触っても文句言うなよな?よっこいせ…うわ、軽い。

あんだけ食べたのにな…不思議な娘だね、まったく」


「……乙女の神秘。…スヤァ」


「それはまた、とんでもない神秘だことで…はぁ。…っ!?こら、ヨダレ垂らすなっての!」


「スヤァ……美少女の…ご褒美?」


「………もう黙って寝ててくださいよ、はぁ」


「…ヴェルデはたまに嬉しそうにするよ?」


…まぁ、それはそれで…いや、何でもない。深く掘り下げるのは止そう…主に自分の身が危ない。


「……絵になるね、あぁ絵になるね…是非に描くべきだね」


おぅ、本音は隠せや。


「麗ちゃんは、変態…スヤァ」


「放り捨ててくぞ?」


「…やだ、そんな事したらどうなるか。ヴェルデとかみんなに、有りそうで無い事ばっかり吹き込むから」


「あ…悪魔の所業だ。可愛い顔してなんてエゲつない事を考えて…まぁ、置いてかないから目的のエネミーが出たら、ちゃんと仕事してね…」


「ぐぅ…」


「はぁ……よっこいせ」


イビキで返事をする器用な少女を背負い直し、彼はまた永久凍土の大地を練り歩くのだった…時折、感じる柔らかな感触は。


「これも…役得ってやつかね」


「……逮捕なのだ」


「さぁ…なんのことやら♪」



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ところ変わってもう一人の依頼人はと言うと…。


「……遅い、いくらなんでも遅すぎるよね、やっぱり私が行った方が…いや、でも…」


「いけませんよ、ヴェルデお嬢様。まだ今日中に処理していただきたい書類があるんですからね?」


プリマヴェーラ家の長女であり次期当主、そして彼の友人…と言うには少し遠くて、恋人と言うにも…すこし適切ではなく…彼とは少し不思議な縁を結んだ翠の髪の女性。


ヴェルデ・ディ・プリマヴェーラは執務室の机の前で手に持ったペンを遊ばせていた。

それを咎めるメイド長…シトラス・レディアントが側に仕えていた。


「そうは言っても、心配だよ。アルトがクエストに出てから丸1日だよ?…それに麗舞さんからも、まだ何の知らせも来ないし……クシュッ」


「これは大変…風邪ですかヴェルデお嬢様!?それなら尚のこと、凍土に行かれるなんて許しませんよ」


頬を膨らませ、主に対して怒るメイド長…我が家にも欲しいです。


「大袈裟だってば…誰かが噂でもしてるのかな」


「…一昨日の晩、お布団をお召しにならずにアルトお嬢様と寝たのでは?」


「え゛っ!?」


「…お戯れも結構ですが、ご自分のお身体も大事になさってくださいね」


「た、戯れなんか、じゃ!……うぅ」


じっと見つめ返す彼女の視線に堪えかねて、それ以上の言葉を呑み込んだ。

ヴェルデ・ディ・プリマヴェーラ…彼女の慈愛の心に惹かれる者は多い、彼女が心配する2人もその一部であった。


そんな主の態度を見かねてか、シトラスは教え聞かせるように優しく言葉を紡いだ。


「お2人をご心配なさるお気持ちは、私も承知しております…勿論、ヴェルデお嬢様が特別な感情を寄せている事も」


「シ、シトラス!?」


「ですが、゛今゛の貴女様は次期プリマヴェーラ家当主で在らせられます。どうか、今やるべき事を見失われませんよう、ご思慮下さいませ」


「シトラス…そうだよね、その為にあの人に任せたんだもんね。私もしっかりしなきゃ」


「その意気ですよ、ヴェルデお嬢様♪それに…」


「?」


首を傾げる彼女に向かって、シトラスは人指し指先をピンと立て胸を張り告げる。


「出来る女は信じて待つのも務め…ですよ、ね♪」


パチッとウィンクも忘れない…さすがメイド長、抜かりない。

是非とも我が家に…いや、寧ろけっk…危ない、何か変な電波を受信しかけたようだ。


「…ぷっ!アハハ…そうだね、その通りだよねシトラス」


「あぁ!笑うなんて酷いですよ、ヴェルデお嬢様ぁ!……あの人だって可愛いって言ってくれたのに…あ」


あ、まぁった余計な火種を…まぁ、大体被害を被るのは彼なのだから、仕方ないね。

あと、書き手の文字数が増えるだけで…おかしいね、これ短編よ?


「…ねぇ、シトラスぅ。それ、どういう事かなぁ…教えて?」


底冷えする声とユラユラと立ち上る翠のオーラ…おかしい、視界が歪んで見えますね。


「は、はいぃ!この前のウィスタリアお嬢様にお願いしたお買い物の日に麗さんから可愛いと言われましたですぅ!」


「……はぁっ!まったく…あぁ!まぁったくだよ、あの人は!懲りないんだから…仕方ないんだから。

いや…まあ、あちこち手ぇ出しちゃってる私よりマシ?うわぁ……私も大概、最低じゃないのよぉ…あぁぁ、やる気なくしたぁ、無理ぃ…シトラス、お酒持って来て」


「は、はいぃ!?なにを仰るんですか!まだ未成年でしょうが!?」


「もーヤダー!わっち色々と疲れたなのー!!呑まなきゃやってらんねぇなぁあああのおおおお!!」


「ヴェヴェヴェ、ヴェ!ヴェルデお嬢様あああああ!?」


お嬢様はご乱心…彼女が平常運転に戻るまでプリマヴェーラ家が総出を上げたお陰で、多大な労力と少しの時間で済んだようだ。


結局、ツケは彼に払わされるのだろう。



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「ィエェッ…キシッ!!…あ゛ぁ……風邪かねぇ」


ズビィィ!と鼻をすすり、背中の相方を背負い直す…皆の意中の彼…主に痛め付けられる意味で。

普段はどうかわからないが、今回はそういう意味合いが強い……仕方ないね、なんせ彼だからね。


「…煩い、寝れない」


「へいへい、すいませんねぇ…ったく、いつまで寝るんだか。ん…なんだアレ、何かあるな」


「んー、なぁに?ご飯?」


背中の声は無視して、ソレに近寄る…それは小さなリュックサックを背負い、横にはフライパンなどの調理器具をぶら下げたトラジマ模様の…


「ネコ?」


死んでるのかと、ネコらしきモノを間近で見つめると、不意に目が開き…見つめ合った。

その状態で数秒…。


「ニャアアアアアアアアアア!?」

「うわああああああああああ!?」


バリバリと顔面を引っ掛かれてしまう、彼…まぁお約束です。


「いっだぁあああああ!?こんの化けネコ、何しやがる!毛皮にして残りは食っちまうぞ、あぁ!?」


「にゃわわっ!?食べないで欲しいですニャ!僕は小さくてこんなに可愛いし食べるとこも少なくて小骨が多いニャア!?」


「は?…喋った?ネコって喋るっけ?」


驚いた拍子に相方を背中から落っことすが、地面が柔らかな雪だった為かボフ!っと音を立てたまま埋もれていた…当人は気づかず惰眠を貪ったままである。


「ネコじゃないニャ!僕はさすらいの料理人アイルーだニャ!主様とクエストにお供してたんだけど、はぐれてしまったニャ…。

確か砂漠で主様とモンスターと戦ってる途中で、変な空間に飲み込まれたまでは覚えているニャ。

気がついたらここに倒れてたニャ…主様どこ行ったニャ?僕は寂しいニャアアアタタアアア!!」


大声でニャンニャン泣く…化けネコ、もといアイルー、泣きたいのはこっちだ。こんな生き物初めて見たが…もしや、アレだろうか。

たまに、別次元から漂流者が来るとかいう…そう言えばナギサちゃんは元気にしてるだろうか?


「大剣ブン回しながら散々、追いかけ回されたっけぇ……あ!てことはだ、そういう時は大抵…セットでバケモノもいた、ような?」


急に自分の周りだけが暗くなる…振り替えれば。


ー ギャオォオオオオオオオン!! ー


「やっぱりかぁああああ!?」

「にゃああああああああ!?」


「…んー、うるっさい…なぁ!」


ズパァン!!


ー ギッ!? ー


おぉぉっと、ここでアルトちゃんの右足が唸るううう!

凄まじいサマーソルトキックでエネミーの首を撥ね飛ばしたぞお!!これは勝負アリだぁああ!!(森久保○太郎 感)


「…は?」

「…にゃ?」


天高く蹴り上げられた首が地面に埋まり徐々に雪が染まる…首がおさらばした胴体からも噴水の如く。


「…これかな、君の言ってたモンスターって」


「はいニャ……空間歪ませるくらい、世も末な奴なんだニャ、たぶん」


茫然と立ち尽くす真っ赤に染まった一人と一匹…目は死んでいる。


「これ…食える?」


「もちろんニャ、下処理をちゃんとやれば絶品ニャ!活け絞めできたし、今は絶賛血抜き中ニャ…鼻がひん曲がるニャア」


「確かに…こりゃ服は買い替えかねぇ、今ビジフォンだと高いんだよねぇ、執事服」


「お金なら心配ないニャ、コイツから採れるモノは全て高値で取引させるニャ!だから余らせるなんてもってのほかニャ!でも、こんなに大きい金冠クラスなんてどうやって運ぶニャ…」


ニャゴォ…と唸るアイルーの頭を撫でる彼…麗舞は不敵な笑みを浮かべる。


「まぁ、その辺は任せなさいって。アルトちゃん、手伝ってよ…後で美味しいステーキ食べさせてあげ「何をすればいい?」るから……うん、取り合えず、アイテムパックや倉庫に入るように、バラしちゃって。内蔵や内容物、体液も全部採取するから、そのつもりでね」


「…かしこま!…っ!!」


目にも止まらぬ速さで「…終わり」ちょ、ちょっと!?


「…にゃ!?今起こった事を…ありのままに「あ、それさっきやったから」…ニャア」


「あ、そうそう。料理人アイルーさんや、少しお耳を拝借」


「んにゃ?なにかニャ…にゃふにゃふ、あぁ!それくらいならお安いご用ニャ!」


そんなこんなで、大量の食材と素材を手に入れた一行であった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ぴゃああああああ!?」


厨房のカウンターにドンと置かれた今回の成果の一部に腰を抜かすフランカ。例の洗脳…もとい、教育は無事に修了したようだ。

教育担当である2人の満足気な表情からもそれが伺える。

そして、アルトちゃんを迎えに来たヴェルデの姿もあった。


「カブト焼きにすると美味しいらしいよ?ほら、コース料理の目玉メニューにピッタリだね!いやはや、アルトちゃん、サマサマだねぇ…あははー♪」


「うっわぁ…きょ、凶悪そうな顔してるねぇ。君たちはいっつも、こんなのと戦ってるんだねぇ…料理人で良かったわ」


「へぇ、こんな個体は初めてですね…変異種かしら。どう思う、パティちゃん」


「むー、変異したとしても…元の姿が現在、確認されてるどの種にも該当するものがないんだよねぇ。ただ、この前からアークスの間で【噂になってるエネミー】って…コレの事かもしれないね。目撃情報と一致する部位が多いもの…麗舞くん、サンプルって私達にも分けて欲しいの。構わない?」


「う~ん、確かに…私の所でも話は聞いてるよ。それにしても、この牙や鱗だったらかなり頑丈な武器や防具がつくれそうよねぇ…案外、美術品としての価値も相当かもしれない。ウチとアルん家の力でよく調べてみようかしら…あの子も食いつくわね、良いよね、麗舞さん」


「あぁ、そう言うと思ってサンプルは用意してあるから持っていくと良いよ。【頭】は置いて置いてといてね、コース料理の目玉、カブト焼きにしてもらうんだからね」


「あ、あのねぇ!?マグロじゃないんだよ!……それに、こんな肉質の食材は初めて見たよ、どうやって料理すれば」


前代未聞のお初な食材…と言うより目の前の『カブト焼き用食材』にかなりビビらされているようだが。


「あぁ、その辺は大丈夫さぁ。普段からこういう食材を使うプロの料理人に来てもらってるからさ!

ささっ、先生!お願いします!」


「ニャニャアー!この僕に任せるニャ!」


トン!とカウンターの上に華麗な【ヒーロー着地】を決めたアイルー先生、コックハットと赤いスカーフにエプロンが決まっている。


「…待たせたニャ」


「「嘘…」」

「ネコが…」

「立って」

「喋ってる…?」


「「「「「か、可愛いいいい!?」」」」」


「ニャニャニャアアアアア!!ぐ、ぐるじぃニ゛ャァ」


乙女に可愛いモノはセットと相場が決まっている、仕方ないのよ…これが正義であり真理なのだから。



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女性陣はひとしきりアイルー先生を愛でて満足したのか、フランカはアイルー先生の横であの食材を使い方のポイントを、必死でメモや記憶力を頼りに覚えている。

パティはその様子を頻りにカメラに納めている。

そんな彼女等を邪魔をしては悪いと、ボク達は離れたテーブル席でお茶会と相成った。


「あのぉ…これ、お茶会?なんでだろうねぇ…なんでボクだけ向かい側の椅子なのかなぁって、あはー♪」


ボクから見て右からディールちゃん、ティアちゃんに、ヴェル…それにアルトちゃん、まぁ彼女はさっき大量のステーキを平らげて爆睡中、脅威度はゼロに等しい。

残りの3人は…


「「「…ウフフ」」」


やっべぇ……終わったなぁって。


「もうわかってくれるよねぇ、麗舞クゥン?」


「毎度毎度…お約束みたいに女の子を引っ掛けて…ねぇ、麗舞さぁん」


「ウチのシトラスにまでって…どういうことかな、かな、麗舞さん♪」


あらぁ~、皆さんにはナイショです♪って言ってたじゃないのシトラスさんや。


「あ~、いや…つい、仕草が可愛いくってぇ…………タシケテー」


「…んー、そう言えば麗ちゃんさー」


テーブルに突っ伏したままアルトちゃんが唐突に喋りだす。

おぅ、待てぃ…腹ペコ・スレンダーは黙って寝ていろ!


「…ギルティ。あのねー、麗ちゃんさー私をオンブしてるときねー!」


「お待ちになってアルトしゃああん!?」


「「「!」」」


「私の変なとこ触ってたよねぇ……」


あやや、ソコ言っちゃうんだ!?


「オンブして?」


「変なところぉ?」


「触って…どうしたのかなぁ♪」


「いやいや、あれは!仕方がないんだってば!じゃないとアルトちゃん、動かないって言うしさぁ!?ちょっと、誤解を生む言い方はやめて欲しいなぁ!」


「誤解ぃ?…でも、在ることしか言ってないよ。それに実際、役得だったんでしょ?」


「うぐぐ、そりゃあ…まぁ。引き締まった身体の割りにきめ細かい肌だなぁとか、やっぱり女の子は柔らかいなぁとか……そりゃ、ねぇ?…………あ」


ミシミシと音がする…皆さんテーブルから手を離してー、壊れちゃうからねー?


「私がアレを舌でアレしたとき…麗ちゃんドキドキしてたよねぇ…なに考えてたのかなぁ」


いや、アレをアレしてって…もうワケわかんなよね!?

あぁ…終わった、こりゃ明日からしばらく包帯グルグルかねぇ…それで済めば良いけど、無理だよねぇ。


ー ベキャア! ー


「ヘェアッ!?」


なんだか、お三方の背後からオーラが見えますが……伝説のスーパーな野菜人みたいな?


「「「誰がブロッコリーのバケモノだぁ……私は、悪魔よ」」」


「ヒィイイイ!元ネタ知ってるよねぇ!?」


3人がユラリと立ち上がりボクの背後に周る…ディールちゃんとヴェルが両脇を固め、ティアちゃんがボクの首に腕を回した。


「「「さぁ…逝きましょうか」」」


「…あのぉ、ボクもアルトちゃんみたいにぃ…そろそろお休みのお時間では?

なぁんて…ないですよねぇ」


「「「お楽しみはこれから…」」」


ズルズルと引きずられながら連行されるのは…オーナーシェフで実験済…もとい、教育を施したあの個室。

側には例のスタッフの姿が扉を開け一礼のまま、待ち構えている。


「…今宵はごゆっくりとお楽しみくださいませ…プフッ」


「楽しめるワケないよね!?おぃ、助けろよおお!あ、テメェ笑ったろ今ぁ!?」


「はいはい、騒がない騒がない。他のお客さんに迷惑だからねぇ♪こぉんなに震えて…君もなかなか、可愛いじゃないの…アハ!」


「ふふふ…日頃、私達がどれだけモヤモヤさせられているか、たぁっぷりと…刻み付けてアゲマスネ」


「…あなたには、1度しっかり痛くしなきゃ、ね?

大丈夫よ…心配しないで、加減はバッチリだもの♪すぅぐに…ラク ニ ナレルヨ?」


「あ、ああああ!あぁあああ!?た、助け…助けて」


「「「だから、私達に…」」」


防音式の重い扉がゆっくりと閉まっていく。


「「「全てを、委ねて…?」」」


扉が完全に締まり内側から鍵が掛かる、それを確認したスタッフは懐からプレートを取りだし…何かをスラスラと書き、それをドアノブに下げて一礼して立ち去った。


そのプレートには


ー 今夜はお楽しみです ー


そう書かれていた……隅に小さく【洗脳中】の文字は見えなかった……いや、見てはいけないのだ。


ちなみに、翌日の予約客達へのコース料理は大盛況だった事を記す。




【終】

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