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  • 執筆者の写真麗ちゃん

閉じた世界【√ーA】


(5話)迫る漆黒の腕

最終更新: 2018年11月24日


ー 新光歴 238年 4月 1日 アークスシップ 甲板 12:13 ー


テレポートした先に見えたのは、あちこちで火を上げるアークスシップの数々と、その奥に佇む惑星サイズにまで肥大した数多の腕を持つ化け物。そして、それらを睨み付ける者…正規アークス達が居た。


「遅くなりました。これより、そちらの指揮下に入ります、レイです。宜しくお願いします」


軽い会釈と簡素な挨拶に、数人がこちらに振り返った。その中に一人の女性が歩み寄ってきた、長く黒い髪をなびかせて。


「初めまして。私は今回の戦域を受け持つチームのマスター、ミユです、宜しく。クラスはブレイバー、前衛担当。貴方は?」


「…レンジャーです。前衛フォローから後衛の後詰めまで、好きに使ってください」


そう言った時、全員が同じ顔で此方を見ていた。こういう顔は何て言うんだったか、そうだ…。


「「「「WBキタコレ!コレデカツル!!」」」」


張りつめていた空気が一気に四散し、お祭りムードに変わった…なんでさ?


「いや、助かるよ!ウチは揃いも揃って『斬り愛・殴り愛・撃ち愛』な連中ばっかりでね、ハハハ!あぁ、俺は愛鷹丸…気軽にかまるって呼んでおくれ。クラスはミユと同じブレイバー、前衛さ」


「…どうも」


「…は、初めまして、あやこです。宜しくお願いしますね?クラスはブレイバー、前衛です」


「…こちらこそ」


「私はヴェルデ、ヴェルデ・ディ・プリマヴェーラ。


クラスはバウンサー、前衛だよ!


こっちは妹のリモーネ、リモーネ・ディ・プリマヴェーラ。


クラスはガンナー、前~中衛だね。


その隣の眼鏡のコはマキナちゃん、マキナ・ディ・スプレンドーレ。


クラスはバウンサー、前衛!


仲良くしてね!」


「…フン!//// 精々、姉様…皆の足を引っ張らん事だ」


「天才的頭脳と美貌を兼ね備えた『すーぱー美少女 マキナちゃん』とは、私だよ。ふぅむ…中々、面白そうだねキミ!期待してるよ」


「…よろしく」


「ほぉ、中々の別嬪はんやなぁ…。よろしゅうな?うちはアルストロメリア・ハイドランジア。


クラスはブレイバー、ヴェルデはんの刃や。「おい、パッド・スラッシャー!図々しいぞ…控えろ」…なんやて?鉄砲玉はさっさと、敵さんとこ行ってタマ取ってきんかいなぁ!」


「……」


「あぁ、はいはい、姉貴どーどー。落ち着けー、マスターの御前だぞー?


ワリィね、騒がしちまってさぁ。


あぁ、アタイは妹のアザレア・ハイドランジア。


クラスはアンタと同じレンジャー、だけどランチャー専門だからさ。アンタのWBには期待してるよ、頼むぜ!


んで、隣のこのコはウィスタリア・アムネセージ


クラスはガンナー、中衛さ。


ちょっと特殊なコでさ、声が出せないんだ…でも、意志疎通は出来るし、周りと連携は問題ないぜ、な!」


「(……よろしく…哀しい…人)」


「ッ!?……はぃ、よろしくお願いしますね」


「やぁっと私の出番ね!


ハァイ!歌って踊れる戦場のアイドル!


セレナータ・ディ・リトルディーヴァとは、私のことだよぉ!!


クラスはテクター、もち後衛!皆の補助・回復に専念するから、思いっきり暴れちゃってね!」


「…アイドル?いぇ、よろしくです」


「…こにゃっく!」


「こにゃ…っく?」


「リフィア!りっふぃって、呼ぶがよい!クラスはガンナー、零レンジ担当…おけぃ?フンス、フンス♪」


「はい…よろしく、です」


いや、おかしいよね?前衛多すぎないかな…レベル上げて物理で斬って殴って蜂の巣にすれば良いじゃない?


個性的過ぎるよ…濃いなぁ。まぁ、おかげで悪目立ちしないで済むか…。声も変えたし、女と思い込んでくれてるみたいなら…好都合だね。


「自己紹介は済んだようね。まもなく全体通信が発信されるわ、みんな回線をオープンに!」


いよいよ、か…。


ーーー アークス各員に通達  ーーー


惑星をも凌駕するレベルの巨大なダーカー、以後『ダークファルス【巨躯】~ エルダー ~』と呼称する。


それが接近している。


その身が放つ飛沫の一つ一つが意志を持ち、すさまじい力を持ってアークス船団に襲い掛かってくる。


各員はこれを迎撃し、ダークファルスの戦力を低下させ、来るべき決戦に備えよ。


これは何よりもの優先の、絶対命令である!


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


《最前線への転送が間もなく行われます。


第一次作戦は、エルダーより飛来する腕『ファルス・アーム』を駆逐し、


本体を消耗させることが目標です。》


「…お手て。…ジャンケンでもするのかしら?このミユ様に?…片腹痛い!!…ヒック」


「もしかして、ミユちゃん…お酒飲んでるのー!?」


「アタイらが勝ったらサクッと引いてくれねぇかなぁ…」


「デュフフハハ!俺も飲んだぞぉ!!」


「いや…それは……なんだかなぁ、だよ?」


「(……最初は…グー…後出し、ダメ…絶対!)」


「へぇ、ウィスタリアはんがやる気になっとるて…珍しい事もあるなぁ♪



「…チッ。呑気な」


「…すやすや」


「あー、あー、マイクチェック…ワン・ツー♪…よし、いい感じ!」


「んー、サクッと帰られると研究材料が採取できないしなぁ…まぁ、一発ブチかまして体組織でもチョロまかしちゃおうか♪…バレなきゃ良いのさ」


「……」


…大丈夫、だよね?


《……これまでの戦闘とは、別次元の過酷な戦いになることが予想されます。


……どうか、ご無事で》


切り替えなきゃ、周りに飲まれないように…。


あくまでも、機械的に対象を殺す。


でなければ、生き残れない。


…耐えてくれよ、ボクの身体。


        3


        2


        1


       GO!!




ー 新光歴 238年 4月 1日 カジノエリア 同時刻 ー



『みんなぁー!!落ち着いて行動してね!


大丈夫!大丈夫だから!押さないで、列になってね!


シェルターへは、まだまだ全然余裕だから!安心して避難してねぇ!


小さい子やお年寄り、怪我をした人や妊婦さんを優先してあげてぇ!


外ことは心配しないで。


皆のヒーロー、私達のアークス達があんな化け物、すぐやっつけちゃうんだからぁ!』


「押さないで!ここから一列になって進んでください!」


「小さなお子さんがおられる方は、手を繋いでねぇ!」


「おぉーい!!手を貸してくれ!怪我人がいるんだ!」


「おかぁさぁあああああん!?」


鳴り止まないブザー音、微かに聞こえる爆発音…時折、大きく揺れる船。


「「「「キャァアアアアアア!?」」」」


『みんな、大丈夫!?落ち着いてっ、キャァッ!?』


一度、恐慌状態に陥った心に、冷静さを取り戻すには…どうすれば良いの。


私の声が皆に届かない…響かない!


「どうしたらいいのかな…麗舞クン、キミなら……ッ!?」


激しい揺れで天上の一部が崩れてバルーンにぶつかった!


「あっ…」


落ちる。


衝撃で私の身体は空中へ投げ出された。


そこから私の意識は途切れた。



ー 新光歴 238年 4月 1日 総合作戦司令室内 同時刻 ー



室内は異様な熱気に包まれ、怒号と関係各所からの通信音が止むこともなく、飛び交っていた。


「アークス各員の展開状況知らせ!」


「は!只今、展開率94パーセント!完了まで…あと6分!」


「遅い!…急がせろ!!」


「了解!」


「アークス船団全体における、住民のシェルターへの避難率は!?」


「依然、87パーセント!各船内でパニックや小規模な暴動が発生しており、対処に非正規アークスを充てていますが、状況は芳しくありません!


その影響で、前線のアークス展開率にも影響が…このままでは!?」


「こういう時の為の戦意高揚・人心掌握の『偶像』ではなかったのか!


…作戦を一部、変更する!前線に展開している非正規アークスの半数を呼び戻せ!各船に振り当て、避難活動及び暴動鎮圧に当たらせろ!


避難完了した船からシェルターを切り離し、近しい船に係留…放棄した船はアークス達の防御壁として使え!


戦力と防衛対象の分散を極力さけよ!


急げよ!敵は待ってはくれんぞ!!」


「「「「了解!!」」」」


矢継ぎ早の司令官の命令に、一言一句間違う事なく作戦変更の旨が各所に向け発される。


しかし、一部の…ただ一つのチームには作戦変更の旨が伝わっていなかった。


いや、『伝えなかった』と表現すべきかもしれない。だが、それを彼らが知り得るのは、作戦終了後から暫く経ってからになる。今現在、知り得るのは…。


「通信士長に繋げ!」


司令官と


「はい、通信士長 ヒルダ 受諾します。御呼びでしょうか、司令。」


ヒルダ通信士長、二人だけ。


何か、抗い様のない悪意と思惑…酷く粘着質なモノに包み込まれた、そんな錯覚さえ思わせる。


ヒルダはそう感じ…最前線に送った、一人の男を思うのだった。


捉え様のない蜃気楼のような、曖昧で歪な雰囲気を醸し出す…自分の教え子を。



ー 新光歴 238年 4月 1日 アークスシップ残骸 甲板 12:26 ー



…もう何体目のファルス・アームを倒したっけ、20を超えた辺りから数えるのを止めた。最初は皆、分散して相手の動きを見ながらの戦いだったけど…誰だったっけかな?


「ん…りっふぃ、裏に回り込んで真っ赤な所に、零レンジ決めたらさ…悶絶してたょ?」


「「「「「「「「「「それだ!!」」」」」」」」」」


「にゃ!?」


「…マジかぁ」


そっからは、ただひたすら


目標の後ろに回り込んでWB


目標の後ろに回り込んでWB


目標の後ろに回り込んでWB


目標の後ろに回り込んでWB


目標の後ろに回り込んでWB


目標の後ろに回り込んでWB


目標の後ろに回り込んでWB


するだけの、簡単なお仕事になってた。


次に、どれを狙えば良いのか、周りの人達が常に教えてくれるし…誰もが射線を塞ぐこともない。


ごく自然に、当たり前のようにお互いを補完し合ってる…。


ブレイバーの苛烈に走り止まらぬ剣技。


ブレイバーとスイッチしてからのバウンサーの舞い躍る絶技。


そして…それらの僅かな隙間を的確に捉え、一発を確実に当てていくガンナーの妙技。


止めと言わんばかりの、たった一人によるダブルランチャー、火力にモノを言わせた制圧力。


縦横無尽に戦場を駆け、常に周りの陰日向に徹する癒しと勇気をくれる歌声。


ハハッ…とんでもない所に来たかも。


なんだよ、ゲテモノ揃いじゃないのさ。別にWB要らなくないかな?


あぁ、『ゲテモノ』は、ボクの方か♪


こう言う人達は、なんて言うんだっけ?…そう、アレだ!


" 英雄 "


眩しいなぁ…本当に居るんだね、こういう人達は。


でも、なんで…この虚しさは、なに?


……さん…レイさん!……


「レイさん!!第一次作戦、成功ですよ!レイさん!」


「ッ!?はい!」


呼ばれた声に我に返ると、ボクを怪訝そうに見る人達。


まぁ、無理もないか…戦闘中に呆ける奴なんて、迷惑なだけだし。


「大丈夫ですか!?どこか傷を負ったんですか!」


「え?」


「「「「「「「「「「マジか!?大変!?ホンマか!?なにぃ!?(…大変)」」」」」」」」」」


「いや、あの、大丈夫ですから!なんともありませんから!…う、近い」


…なんでさ、普通は違うでしょうよ。


どうして、余所者の心配なんかしてんのさ?一人でも不安要素があれば、失敗するかもしれないのに…周りが道連れになるかもしれないのに。


なぜ?


どうして?


分からない…


分からない、自分が


キモチワルイ。


「(…哀しい、人…あなたも……自分が、分からない。私と…同じ)」


「ッ!?」


びっくりした、いきなり入ってきた…頭ではなく、今度は心に。


やめろ、やめてくれ。


今は何も考えない…そう、それでいい。


言われた所にWB撃ち込むだけで良いんだ、訓練でやった的当てと一緒さ。楽にやれる、そう…何も考えるな、ただ無心になれ。目の前の的に向かって、時間いっぱい撃つだけだ。


機械的に引き金を引け。


「(……)」


悲しげに見つめる彼女の眼を、


ボクは見返す事ができないでいた。




ー 新光歴 238年 4月 1日 カジノエリア 同時刻 ー



ここは何処だろう、見渡す限り真っ白な空間が広がってる…何も聞こえない。

ここが、死後の世界なのか……私はその場にへたりこんでしまった。


ーーーー ごめんね、やっぱり無理だったよ…私。

皆、ごめんね…守れなかったよ、ごめんね…麗舞クン。

バイバ【無責任な姫様だな、全く】…イ?



【それでも『プリンセス・ディール』か…あれだけ啖呵を切っておいて】



いきなり響く声、聞き覚えのあるような声がする。顔を上げると、赤黒い人影の様なモノがいた。はっきりとした姿はわからない、霧がかったようにその存在は酷く曖昧だ。


ーーーー え?…誰、なの?…誰よ、誰なのよ、姿を見せなさい!私だって頑張った、必死でやったよ!?でも…出来なかった、無理だったの!

届かなかったの!

響かなかったの!!

…誰の心にも!!!


影は何も喋らない、だだそこにいて揺らめいてる。


ーーーー それに、もう死んでるんだから…今更足掻いたって、無駄なのよ。もう、会えない…皆にも、アイツ…にも。


誰にも、もう会えない。嫌でも突きつけらる事実に私の心は決壊した、恥も外聞もなく泣き叫び…思わずアイツの名前が口から出た。


ーーーー うぅ………ぅうっ…

ぅあぁああああああああああああん!

べぃびゅぐぅうああああああぁあん!


【やめろやめろぉおおおお、もう泣くな!えぇい、鬱陶しい!「ベイブ」じゃない…人の名前くらいちゃんと呼べ】


ーーーー だっでぇえ…ふぇえ、グズッグズズッ……えぁ?

ねぇ…今、なんて?


今、人影はなんと言った…どうして人の名前だって解ったのか。


【ん?泣くな鬱陶しい】


ーーーー その後!!!


【その涙と鼻水でグッシャグシャの顔なんとかしろよ、アイドルとしてそれは無いわ?】


ーーーー 言ってないでしょぉおおぉおおお!?


はぐらかされてる気がする、それに…このやり取りは、いつものアイツと似たような雰囲気がする。まさか…そんな筈はない、私は頭を過った事を振り払う。

そんな私に影は更に続ける。


【…なんだ、まだ元気じゃないか。それも当然か、お前…まだ死んでないからな】


ーーーー え…なに、言ってるのよ。ちゃんと、説明しなさいよ!?


【まだ、お前にはやるべき事があるはずだ。さぁ、目を開けて…ディール。

皆がキミを呼んでる、その声を聞いて。

心の闇を払い、周りを笑顔にする…その力にフォトンの加護を…与えてあげるから。

もう、大丈夫……だから、ね?】


ーーーー どう、いうこと?あなたは、誰なの?


【カフェ、一緒に行っておいで。アイツ、あぁ見えて内心は楽しみにしてるからさ…今度は、ちゃんと行ってきてね】


ーーーー ッ!?待って、お願い!今度はってなんなの?どうしてアイツの事、麗舞クンの事を知ってるの!?まさか…貴方は!



あぁ、視界が白く霞んでいく。お願い行かないでよ…まだ話したいことがあるの!

霧のようにボヤけた人影、アイツと重なる誰かはそのまま無言で私から遠ざかっていく。


【……バイバイ、ディールちゃん】


最後に響いた声は、いつも聞く声と重なって聞こえた。

しばらくすると、今度は別の声が聞こえてくる…段々、大きくなる。


ーーーー ………ちゃん!


ーーーー ……ルさん!!


ーーーー …しっかりして!


「「「「ディールちゃん!!」」」」


「「「「ディールさん!!!」」」」


「…ぅ、あ?…あれ、私…みんな?」


目を開けると…そこには、カジノのメンバーや、さっきまでパニックを起こして座り込んでた人…あ、この子はお母さんとはぐれて泣いていた。


「…みんな、どう、したの?早く、避難…しなきゃ。」


「「「「うぉおおおお!!」」」」


「「「「生きてるぞぉ!!」」」」


「「「「良かったぁあ!!」」」」


「ひゃあっ!?え、なに、何事!?」


みんな…どうして、笑ってるのかな?


さっきまで、あんなに怯えて叫んで震えていたのに…どうして?


「あなたが空中に投げ出されたとき…みんな、もうダメかと思ったのよ?

そしたら、ディールちゃんは赤黒い光の帯に包まれちゃうし、暫くずっと空中に留まったままだし。あぁ、もう!とにかく!心配したんだから!!」


クローディアちゃん…。


「カジノのアイドルがこんな怪我までして、俺達の為に命張ってくれたんだ。心配しないはずないぜ、なぁ、皆!!」


チップ君まで。


「「「「「おぉおおお!!」」」」」


みんな………よし!


顔を両手で二度叩く…もう、大丈夫。


「みんな!心配かけてゴメンね!私はこの通り、ピンピンしてるよ!さぁさぁ、スタッフの皆は持ち場に戻って!他の皆は、早く、避難していこうねぇ!!」


もう大丈夫…そうだ、大丈夫!


「この『プリンセス・ディール』がいれば!


いつでも!


どこでも!


みぃんな、笑顔!!


この私に、まかせなさぁあああい!!」


ーーーー 私、頑張るから!

貴方にも、この声が届くように!

負けないで、麗舞クン!


遠くで戦うアイツに向けて祈る…きっと、届く。何故か、不安は感じなかった。


ーーーー これで良いんでしょ?もう一人のお人好しさん。



ー 新光歴 238年 4月 1日 総合作戦司令室付近 通路 12:27 ー



何が起こっている、何故だ…何故、アイツが居るチームには作戦変更の通信を出してはならなかった?


それに先の司令との会話、何か不自然だったような…なんだ?



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



『今回の作戦には貴様の秘蔵っ子が出るそうじゃないか?』


「はい、その通りです。司令、それがなに、か…?」


『確か…名前は【レイヴ】と言ったな、ソレがいる担当区域のチームには、作戦変更の命令は伝えるな、他のアークスの合流もさせるな。


…以上だ』


「待ってください!復唱しかねます!

…理由を、理由をお聞かせください!

司令!」


『貴様が知る必要はない…以上だ』



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



あの中に知られたくない者がいた?


確か、あのチームは最近出来たばかりと聞く…登録されているアークスに特に素行の悪い者は居なかったはず…。


ならば、各々の生い立ちが関係している?


やはり、チームの者というよりは……。


アイツが関係している?


なぁ麗舞、お前は一体…。





【続】



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