top of page
  • 執筆者の写真麗ちゃん

【読みきり】未完成、それゆえに【ほぼ当時のまま再掲載】

一部の短篇は改変しちゃったし、どうすっかなって思ってたけど。色々考えるの面倒になったから残してた最後のコレは当時のままで上げることにするん。色々複雑なんだけど…うちが作ったキャラだものな。


ま、意味わかんないだろうけど、一人言なのね?


改めて読むと…改行が多いなって、今もだけど。これは旧サイトに上げた短篇【男達の挽歌】と2本立てであげたもの、東○アニメ祭り的なギャグ・シリアスを別けて別の話で二時間引っ張るみたいなアレなのよ。


因みに【男達の挽歌】はこのサイトに改変版があるので、そちらをどうぞ。


今だから言えるけどこの話は【閉じた世界 √ーA】の時間軸で、そのまま彼が進んだちょっと先…あるいは物語終盤なのかは、もうわからないけど、【未来】とか【if】のお話。

当時はそこまで考えてなかったけど、結果として繋がっててビックリしてる。 


では、ほぼ【作者の意向を踏まえ、書き上げた当時のクオリティーそのままに】スタイルで、どうぞ。


2019-09-04 雰囲気作りに最後の会話文だけ加筆()



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



麗舞 ーRaveー

2018年12月10日

(読み切り)ー 未完成、それ故に ー

さ、今回は読み切り豪華2本立てだよー!もぉりあがってこー!

お話の背景は某超有名ロックバンドの1曲が元ネタなの、和訳を探しては読み流してたら、「あ、なんか1本書けんじゃね」くらいの軽い勢いだったの

そしたら、なんか前に書いた『嘘予告』の設定をブチ込んでみましたですの。


後あれだ…ピアノ弾ける(イケ)メンズはカッコいいなって。


あ、和訳箇所は元の和訳より、かなり無茶苦茶に表現してるの…そこはごめんなさい。

X ■■■■■は素晴らしいぞ(挨拶)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



とりわけ何でもない平日の夜、私はいつものデイリーオーダーを手早く済ませて"我が家"とも言えるチームルームに帰ってきた。馴染みの顔が何人かいて、それぞれ好きなことをして寛いでいた。


ビジフォンで目当てのモノを探すのに躍起になっている人


椅子に座って次に作る装備の話をする人


チームカウンター前で新しく加入した人に、講義めいた事をしてる人もいる。


まだクエストに行っていて頑張っている人達もいるようだ、チーム内通信がその賑やかさを物語っている…ここも随分と賑やかになったものだ。


このチームを立ち上げて本当に良かった…嘘なく言い切れる。皆の顔を一人一人、確認するように辺りをぐるりと見渡せば…少し違和感を感じた、そう言えば…"いつもより"ここは静かだ。


違和感の正体は、もう一度見渡すまでもない…彼だ。彼がいないのだ。


いつもこの時間になれば


定位置とも言える長椅子の隅で…横になって気だるげにしている姿も


バーカウンターでシェイカーを振る姿も


誰かにちょっかい掛けて飛んで跳ねてる姿も


今日はまだ…どこにもいない、いつもなら真っ先に気が付く存在がいない。


別にチームを離れた訳でも、ましてや死んだわけでもないのに…


ー いつもいる存在がいない ー


ただ、それだけで私の心を大きく揺さぶる人。端末から指先1つでどこにいるか…なんて、すぐなのに。それさえ分からなくさせるほどに彼は、私の……。


「まだカジノエリアにいるんだ…バイト、長引いてるのかしら」


端末を睨めつけながら考え込む私に話し掛けて来た人…このチームの主力であり外部組織《エレメンツ》の一員でもあるリフィアちゃんだ。


「おー、ミユちゃんじゃないの…おかえりぃ♪どうしたの、そんな難しい顔しちゃって?」


「あぁ、ごめんなさい。ただ、麗舞さんがいないなって…」


「ふーん、麗ちゃんならまだバイトから帰ってないね…もうとっくにカジノは閉まってる時間なのにね。

そういや今日は遅番だって話も聞いてないよ、どうせまたサボった罰で居残りしてるか、カジノロビーで寝ちゃってるんじゃないのかなぁ。通信してみたら?」


「それが…さっきから何度もしてるんだけど、返事がないのよ。何してるのかしら、もう!」


「…まぁた、その辺の女の子にでも声掛けてさ、殴るられてるんじゃない?息するように口説くんだからさぁ…顔『だけ』は良いからね、麗ちゃん。今頃、純真なコが引っ掛かってないか心配だねぇ…ね、ミユちゃん♪」


イタズラっぽい笑みを浮かべながら私を見てる、冗談だってお互いわかるから笑って流せるけど…


「やっぱり、リフィアちゃんはしばらくカニカマ禁止ね♪」


ピクピクと動く耳がビクンと跳ねた。


「にゃああ!?そ、それは…冗談キツくないかにゃって…にゃはー」


「にゃはー……だぁめ♪

それじゃ私、ちょっと迎えに行ってくるから!」


それだけ伝えて私は我が家を出た。



ー カニカマは許してえええええ… ー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



この時間になると明かりは消え、普段の賑やかさはすっかり鳴りを潜めるカジノエリア、主だった照明や明るいBGMは落とされ静寂が満ちている…いつもならば。


僅かな明かりが灯る場所から聴こえるのは、カジノの喧騒とは真逆の透き通るように綺麗で…それでいて悲しげな旋律と、優しく語りかけるように…でも時折、悲痛に叫ぶような歌声が響いている。


カジノロビーの一画…ミニライブが行えるステージの上に、いつもの執事服を着てピアノを弾き語る彼がいた。


~~♪~♪


その背中は、瞬きさえも出来なくさせてしまう…もし目を閉じて次に見開いたとき、もう彼はいなくなってしまうんじゃないか。そんな在りもしない恐怖に、身も心も磔にされたような感覚に陥ってしまう。


柱の陰に隠れて背中越しに見つめ、流れる旋律とその歌詞から伝わる…不器用で悲しくて、一途な想いに私は声を掛けられずにいた。


いつも飄々として周りに溶け込んで、バカをやっては吹き飛ばされてる貴方。


カードをシャッフルしては配り鮮やかな所作で場を支配するディーラーの貴方。


初めて貴方の部屋で語り明かした時の優しげな貴方。


今、私が知っているどの姿にも合致しない…とても小さく見える背中だった。


5分弱だろうか…曲が終わっても彼はその場を動こうとしなかった。肩が震えてる…泣いて、いるの?

そう気付いたときには、彼の背中に飛び付いていた。


「うぉおっ!?な、なんだ、なんだ!………ッ!…あらら、ミユちゃん?どうしたの、こんな所に」


焦りながら袖で目元を拭い、いつもの飄々とした柔らかな笑顔を向けてくれる。ほんのり漂う煙草のフレーバーの香りと彼の匂い……幻なんかじゃない、ちゃんと貴方はここにいるんだ。

回した腕に力を込めた、どこへも行かないように…消えてしまわないようにと。


「いだだだ!痛いってば、折れる折れちゃうから、骨ぇええ!帰りが遅くなったのは謝るからぁ!ね、ね?

あ……泣いて、いるのかい…どうしたんだい」


「…どこにも、行かないで」


「あはは……どこにも、行きやしないさ。このチームを追い出されちゃったら行くとこ無いんだもの♪」


「そうじゃない……私を一人にしないで」


「…………うん」


言葉少なに返しながら私の手を握り返してくれた。初めて見た彼の儚げな姿に、私は溢れ出る衝動を抑えられなかった。


「麗舞さん…」


「ん…なぁに?…ッ!?」


ステージを照らす薄い明かりで伸びて、一瞬だけ重なる影。


「…ふふ」


「あ、あ…ぇ?」


「もう…離さない、立ち去りもしないから。また…明日ね?お休みなさい」


急に込み上げてくる羞恥心を顔に出さないように、ボーッとしたままの彼を見向きせずカジノエリアから飛び出した。チームルームに戻ることもせず、自分の部屋に駆け込みロックを掛け…ベッドにダイブした。


枕に顔を埋めてじっとしながら、頭の中で反すうする、彼が歌っていた歌詞の訳…。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



貴女 ー 幻 ー を見つめている…


もう自分をどうしたら良いのか、わからない…


それがボクには"痛み"でしかなくて


瞳から零れる涙を拭いて、立ち去って欲しい…


そしてボクを忘れて…


もうこれ以上、傷つく必要なんてないんだ


ボクの前から消えておくれ…今すぐに


"愛"ってなんだろう…ボクにはわからない


もうこれ以上、傷つく必要なんてないんだよ


貴女は言ったね…


"ボクがいないくて寂しい"って


"毎晩のようにボクの事を考えては、寂しさと向かい合わせだ"って


でも貴女が寂しさを募らせる時、ボクは貴女の側にいられない…


貴女に相応しいのはボクじゃないんだ、瞳を閉じてボクを忘れて…


もうボクは何も出来ないんだ、道を外れてしまったボクには…


涙で濡れた夜をずっと歩けば、そこで誰かが貴女を抱くのを見つけてしまった


夜の帷がすべて落ちて…ボクの"想い"もまた、貴女の幻を消し去ったんだ


ボクの心は今


酷く冷たいよ…


瞳から零れる涙を拭いて、立ち去って欲しい…そしてボクを忘れて…


もうこれ以上、傷つく必要なんてないんだよ


貴女は言ったね…


"ボクがいないと とても寂しい"って


"毎晩のようにボクの事を考えては、寂しさと隣り合わせなの"って


でも貴女が寂しさを募らせる時、ボクは貴女の側にはいられない


ボクの元から離れていって…今すぐに


ボクは"愛"が何なのか分からないから…


もうこれ以、 傷つく必要なんてないんだ


ボクはもう自分の道さえ、見つけられないんだから…



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



どうしてそんな悲しい詩を歌うの?


一人にしないって言葉…信じても良いよね?


私は着替えることもせず枕を抱えて眠りについた。


明日になれば…またいつもの彼に会える、そう信じたかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【アハハハ!ほらほら、そんなに怯えちゃって…気味悪いならさ、怖いなら振り払いなよ…。飾りじゃないんだろ!その腰に下げたご自慢のエモノはさぁ!】


『やめて…お願い、私に斬らせないで!』


【裏切り者のアークスを、我らが『英雄』様が心を痛ませながらも倒す…護るべき者達の為に、ね。

クククッ…涙ナミダの悲しいお話ってヤツかぁオイ!?泣かせるよねぇ!………ヘドが出るんだよ!!】


『それでも…それでも私はあああ!!私は■■を■■■■■!!』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「!?」


寝覚めの悪い夢だった…朧げな記憶しかないけれど、とても辛い夢だったのは覚えてる…。


「…麗舞、さん」


ベッドの脇に置かれた硝子の写真立てを取ろうと手を伸ばす、けれどそれは虚しく手から滑り落ちてしまった。


「あ!」


軽い音と共に硝子は砕け、写真に傷をつけてしまったようだ…彼が微笑む、その顔を。


「…そんな、どうしよう。傷が…」


なにかの前触れ、まさか………なにか嫌な予感がする。こういうときの勘はやけに冴えるから困る。


最速で身なりを整えた後…呼吸を整え精神を統一する。刹那、腰に下げた刀を一閃…悪い予感を断ち切るように。


「…………ッ!! ハァッ!!……ふぅ」


静寂だけが私を包む…もう、大丈夫だ。私は深呼吸を1つして部屋を出た。


「…会いに行かなきゃ」


それから数日経ったある日……彼は私達の前から姿を消し、同時に私達は知ることになる。


彼の秘密を…アークスでもなく、ディーラーでもない、もう1つの側面を。彼がひた隠しにしていた…罪の証を。


再び私の前に現れたのは、以前までの雰囲気も…姿も何もかもを消し去り、醜く禍々しく…虚ろな目をした、憎むべき敵、滅ぼすべき存在…


【ダークファルス】


それへと変貌してしまった、彼の姿だった。



【…イラ、ナイ……コンナ…セカイ、ミトメナイ……ダカ、ラ】



「麗、舞…さん?」



【モウ……イラナイ!!】




【終】

閲覧数:10回0件のコメント

最新記事

すべて表示

爪痕

【前書き】 現行の√ーAは訳あって主人公死亡ENDにしちゃったんですけど。初期案の主人公【麗舞】生存ルートで、その後に控えた【ハドレッド編】に繋がる導入部が出てきたので…一部書き直して短編に仕上げてみました。 √ーBは心が病んでないと書けない気がする() ではどうぞ。...

コメント


bottom of page